探偵が行う調査の違法性とは

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探偵ができない調査内容とは?調査の違法性

探偵と聞いて皆さんがイメージするのは、尾行やを盗撮・盗聴の技術を駆使して、必要な情報を入手する職業かと思います。

しかし、これは違法行為にはならないのでしょうか?

そこで今回は探偵が行う調査において、違法となるもの、合法なもの、違法のように見えるけど合法なものなどをいろいろと調べてみました。

そもそも探偵に与えられる権限は?

探偵の調査の違法性を知る前に、まずは探偵とはどのような職業なのか?

どれだけの権限を持っているのか?

そもそもどうやったら探偵になれるのか? などを知っておきましょう。

まず、探偵になるのに必要な国家資格などは一切存在しません。

極論を言ってしまえば、「私は明日から探偵になります」と宣言してしまえば、誰でもなれるのが探偵ということになります

しかし、探偵として仕事をするには、事務所の開設が必要です。

この事務所の開設にあたっては、各自治体の公安委員会に届け出を出す必要があります。

これを「探偵業開始届出書」といい、この届出が受理されて、「届出番号」が通知されてはじめて探偵事務所を開設することができます。

ここまで読んでお分かりかと思いますが、探偵には特に必要な資格はなく、届出ひとつで開業できるということは、特別な権限が与えられていないということにもなります。

実はその通りで、探偵だからといって、調査に関して特別に与えられた権限はなく、我々一般人と同様に、法を守った範囲の中で調査を行う必要性があります

また、前述の探偵業開始届出書には、「法令を遵守して営業します」という宣誓文も含まれています。


探偵に特別な権限はなく、我々と同様法律を遵守しなければいけないということを知っておきましょう。


探偵が受けてはいけない調査依頼

では、探偵が調査をすると違法になるケースの具体例を見ていきましょう。

まずは分かりやすく「受けてはいけない調査依頼」に関することです

探偵業は法律を守った上で行うことが条件ですから、調査の結果が違法行為に繋がるような調査は当然受けられないということになります。

具体的に言えば犯罪をほう助するような調査です。

過去に夫のDVから逃れてひっそりと生活していた奥さんの住所を、夫の依頼を受けて調査した探偵事務所がありました。

この探偵が奥さんの住所を夫に伝えたことで、残念ながら殺人事件に発展してしまい、世間でも大きな話題となっています。

このように、違法行為を手助けするような調査や、他人を陥れることが目的の調査は受けることができません。


目的はこういった違法行為ではなくとも、探偵が受けてはいけない調査があります。

まずひとつ目は「反社会的集団からの調査依頼」です。

反社会的集団や組織に関しては、どの業種においてもその関わりが制限されており、探偵業務も同様です。

そしてもうひとつが「差別的思想を助長するような調査」になります。

これは結婚相手の信用調査や、企業による就職希望者の身辺調査で、調査対象者の出身地域や出自を調査することは禁じられています

出身地による差別は今でも日本の各地で残っており、こういった差別思想を助長しないようにする配慮といえます。

このように正式に探偵業務を行う場合は、犯罪や不法行為の手助けとなるような調査や、差別を助長するような調査、世間一般が関わってはいけないとされている団体などからの調査依頼は受けてはいけないということになります


盗撮・盗聴が違法行為となる場合

盗撮や盗聴自体は違法行為ではありません。

しかし盗撮によって入手した画像や映像、盗聴によって入手した音声などをどう使うか、また盗聴、盗撮をどうやって行うかで違法行為になってしまう場合があります

まず画像や映像などをネット上などに拡散すると、被写体となっている人物の肖像権の侵害やプライバシーの侵害となり、当然違法行為ということになります。

入手した音声の内容を基に、対象者を脅迫したりすればこれは脅迫罪や強要罪ということになります。

画像や映像、音声データに関しては、入手するまでは違法ではありませんが、そのデータを利用して何をするかで、違法行為になりますので覚えておきましょう。

盗撮・盗聴の方法に関してですが、例えば探偵が盗聴器を調査対象者の車に仕掛ける行為。

これは器物破損罪にあたり違法行為です。

ちなみに、盗聴器を仕掛けるのが、調査対象者の家族で、仕掛ける車が自家用車であれば器物破損罪にはなりません。

また、盗撮や盗聴を行うために、対象者の自宅の敷地や他の人の敷地に無断で入ることは、不法侵入となりこれも犯罪になります。

盗聴や盗撮に関して、探偵の調査で違法行為が発生するとすれば、こうした器物破損罪や不法侵入罪が中心となります。


尾行とストーカーって何が違う?

探偵の調査で必須ともいえる尾行ですが、この尾行を数日間にわたって行うのはいわゆるストーカーの手口と同様で、ストーカー規制法に触れる可能性があるように思われるかもしれません

そこで、最後に尾行調査とストーカーの違いについて覚えておきましょう。

日本の法律におけるストーカーの定義には「好意に基づいて…」という断り書きがあります。

これが探偵とストーカーの最大の違いです。

探偵は業務として、依頼者から依頼を受けて、仕事の一部として尾行を行っています。

探偵が業務の一部として調査対象者を尾行することは、「探偵業の業務の適正化に関する法律」にも明記されており、業務の一環として認められた行為になります。

しかしストーカーは自らの勝手な好意に基づいて、私情でストーキングを行います。

これが大きな違いです。

もちろん探偵が依頼された調査の範囲を超え、調査対象者に好意を持ち、業務以外で尾行を行えば、これはストーカーということになります。

ストーカーと探偵の尾行の違いをしっかりと覚えておきましょう。

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